SNSが普及し、暗号のような簡略語を使った気軽なコミュニケーションが増える一方、ビジネスの世界では「語彙力」に対する意識はますます高まっています。
互いのことを知らない状態から始まることも多いビジネスの場面では、今も語彙力は重要です。
それは時として企業の利害に直結する可能性があったり社内の人間関係にも大きく影響を与えるケースがあるからです。
そもそも【語彙力とは】
「語彙力」とは端的にいえば「ある特定の範囲で使いこなせる言葉の数」のことで、「語彙力の高い人」とはいわば言葉の引き出しをたくさん持っていてその場の状況や伝える相手に応じて適切に言葉を扱える人のことです。
語彙力は、以下2つの能力で構成されており、「言葉をどれだけ知っているか」に加えて「適切に使えるかどうか」も意識する必要があります。
①語彙の量:どれだけ多くの言葉とその応用を知っているか
「読み」「書き」「会話」について常識力をベースに多種多様な人たちとコミュニケーションを図る必要があるため語彙力がなければお互いの話に共通認識が得られず、不信感や違和感を持たれてしまうでしょう。
より多くの言葉、言い回し、慣用句、ことわざなどを深く理解し自分の知識として蓄えておくことが重要です。
②語彙の質:状況に応じて、知っている言葉を適切に選び、使えるかどうか
・想像力を持つ
相手が「何を表現したいのか」「何を伝えたいのか」「何をしてほしいのか」を汲み取りながら自分のことを100%表現するためのコミュニケーションを図って、目に見えないものを感じて表現することも語彙力の大切なスキルの一つです。
・要約力をつける
的確な言葉やフレーズを選んで自分の思考や感情を相手にわかりやすく伝える要約力も必要です。
要点を掴んでコミュニケーションができればスムーズに相手との意思疎通にかかる時間を短縮できるし、加えて会話がスムーズにできれば仕事ができる印象を持たれやすいです。
・表現力をつける
自分の考えや思いをうまく表現して伝えられれば円滑なコミュニケーションを図れます。
また誤解や齟齬を来すようなことも極力避けられることから、人間関係のトラブルに発展するのも防ぐことが期待できます。
「語彙力」が特にビジネスシーンで必要とされる理由
「語彙力」は、今の時代のビジネスにおいて最低スキルのひとつといっても過言ではありません。
なぜビジネスシーンで「語彙力」が必要なのかは、おもに下記の理由が考えられます。
伝える力と理解する力が両方備わるため、コミュニケーションの齟齬や誤解が生まれにくく、業務をスムーズにすすめられるから。
語彙力とはつまるところ相手(クライアント、上司、同僚、聴取者など)との潤滑なコミュニケーションをとるためのツールの一つです。
話す方と聞く方との共通認識があることが前提になります。相手の話す言葉の意味がわからなければそもそもコミュニケーションは成立しないからです。
共通認識が成立していれば齟齬や誤解も生じにくいのでビジネスでの次の展開や社内での業務をスムーズに進めやすいということです。
伝えにくいことも婉曲に表現できるため、業務や人間関係の改善もしやすくなるから
商談でもプレゼンでも、また社内の報告・確認の場面でも、お互いの感情のやり取りが根底には存在します。
すこしでも相手の感情を考慮しつつ自分の主張を限りなく100%伝えるためには、伝えにくい事、言いにくい事を上手く表現しなければいけません。
またセクハラ、モラハラなど社会通念上のコンプライアンスの重要性が問題になっている現在、伝え方が難しい場面も多く、とくに中間管理職の方々には神経を使う毎日ですね。
語彙力が高い人は自分の感情を言語化して正確に把握でき、自分の感情をコントロールしやすくなるので相手に対する怒りの感情を婉曲に表現できるため、相手に配慮しながらその感情を伝えるのも可能です。
面倒な人間関係のちょっとした感情のすれ違いを極力さけることができるので、いろいろな場面での人間関係のストレスが軽減されるということです。
ビジネスチャンスのスタートラインに立てるから
例えば貴方が営業職や企画・宣伝部に所属していて同期と比べて能力が劣ってないもしく頭一つ優れていると自覚していたとしても、語彙力が劣っているためにプレゼンのラインナップにも加えてもらえないということもあり得ます。
逆に「語彙力」を認められていれば信頼や期待を多く獲得できるので、スタートラインから優位に立つことが出来るのです。
社会人としてのレベルを知るための一つの尺度となるから
稚拙な言葉使い、同じことを何度も言いまわす、使い方が間違えているという事が分からずにビジネスをすすめるということは、ITが進んだ今のビジネス社会でもまず通用しません。
新人研修のビジネスマナー研修で必ず敬語の使い方を講義されるのはビジネスを含む社会人としての言葉遣いを身につけてもらうためのものと言えます。
例えばメールの文章についても最低限のルールはあるので、それを知らないと相手方に無知を知らせる物的証拠になりかねないのです。
あえてその間違いを指摘してくれるケースはまさに稀有なことなので、先方にはそのまま「常識を知らない人」という印象がずっと残ってしまう可能性があるんです。
特にビジネスは利害がからんでくるケースが多いので信用を失うようなことがあると大きな損失を招く可能性があり、逆に「豊富な語彙力」が発揮できれば信用力と信頼性が高まることに繋がります。
語彙力が高い人は、言葉への関心が高く新しく出会った表現を使いこなそうというモチベーションを持っていると言われています。
「語彙力」を鍛えるには?
「語彙力」を鍛える方法はおもに3つあります。
積極的にインプット
自分を100%表現するためにより多くの「語彙」を身につける方法として「読書」の習慣をおススメします。
たとえばビジネス書や興味のあるもしくは関連のある分野の「専門書」を読むことで専門用語やビジネスに必要な表現方法を身につけることができます。
さらに広い分野の本を読むことで自分の視野をひろげることができるんです。
本という媒体を通して多くの語彙を吸収し(インプット)、広い視野を持ち正確で適切な表現方法を見つけることが重要です。
現代ではSNSなどのインターネットで情報を得ようとする人が多いですが、ネットの情報は残念ながら間違った情報がいかにも正確のように伝えられることがあることは否定できません。
その点、本ならば専門的な裏付けをとった情報を、幾度もの校正を経て世に出てくるのがほぼ全てであるので本からの情報インプットをおススメします。
幅広くアウトプット
「語彙力」を鍛える方法の2つ目として異なる価値観を持った人たちと幅広く多くの機会を持って話をする(アウトプット)ということです。
インプットと同じタイミングかインプットされた直後に行なうのが効果的です。
「語彙力」の目的は、相対する人に自分のことを100%伝えるための手段です。
ビジネスの場において、相手の思想も環境も思惑もすべて異なり、そのつど自分を出来るだけ短い時間で100%にちかく理解してもらうことが重要です。
そのためには日頃から異なる価値観を持った人に自分を理解してもらうというシミュレーションを経験することです。
ビジネスコミュニケーションのフレームワークを練習する
「ビジネスワークコミュニケーションのフレームワーク」とは自分の考えを理論的にまとめつつ分かりやすく伝える順番を組み立て実践するという事です。
例えば「料理におけるレシピ」なようなもので、ビジネスのコミュニケーションにおいても「相手に意図を100%正しく伝えて理解してもらう」ためには語彙をどんな組み合わせで、どんな順番で伝えると最も効果的であるかというフレームワークを知り反復練習をすることが非常に効果的だあるという事です。
しかし「ビジネスコミュニケーションのフレームワーク」といってもピンときませんよね。
あなたは普段コミュニケーションでこんな悩みはありませんか?
このうち一つもしくは複数思い当たる方はビジネスマンとして非常に苦しいハンディを背負っているようなものです。
これらの悩みは生まれつきの性格やセンスの問題だと思って性格を変えようとしたりセンスを磨けばなんとかなると思う方がいたら・・・
「人間心理」と「教育工学」に基づいて伝える力というスキルを体系的に学ぶことで変えられるんです。
コミュニケーション能力とは自然と身につくものでそのために個人差があるのはしょうがないということではありません。
身につく3ステップを学ぶことで必然的にコミュケーション能力を手に入れることが出来るのです。
- コミュニケーションの型を学ぶ
- 型を使いこなす”技能”を磨く
- 考え方を磨く
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【付録】間違えやすい「慣用語」や「ことわざ」の使い方と理解
語彙のなかには知っていると便利な「慣用句」「ことわざ」というジャンルがあります。
使われる「慣用句」や「ことわざ」の意味を理解して使わなければ逆に大きな恥をさらすことになりかねないのです。
間違えやすい「慣用句」「ことわざ」の一例をご紹介します
- ✖「一同に会する」⇒〇「一堂に会する」
「同じ場所に集まること」の意味から一堂は場所、一同は居合わせた全員の意味なので「一堂」が正しいのです。
- ✖「的を得る」⇒〇「的を射る」
「的確に要点を捉える」の意味で、要点を弓の的になぞらえ矢が射ることで的確に捉えるという比喩なので「射る」が正解です。
- ✖「新規巻き直し」⇒〇「新規蒔き直し」
そもそもは蒔いた種が芽吹かないので蒔き直すということから「蒔き直し」が正しいのです。
- ✖「暇にまかせて」⇒〇「暇に飽かせて」
「飽かす」は満足するまで十分に使うという意味なのでこの場合「まかせて」は間違いです。
- ✖「白羽の矢が当たる」⇒〇「白羽の矢が立つ」
「多くの人の中から特別に選ばれる」といった意味合いで使われることわざです。
昔、神が選んだ人身御供(ひとみごくう)の少女の家の屋根に、白羽の矢が立つという言い伝えからきたものです。
- ✖「濡れ手で泡」⇒〇「濡れ手で粟」
濡れた手で粟を掴むとたくさんくっつく様子から苦労せずに多くの利益を得ることを例えたことわざなので、泡だと意味が違ってしまいます。
- 「熱にうなされる」⇒〇「熱に浮かされる」
「浮かされる」は意識がなく正常でなくなる様子を表し、「うなされる」は悪い夢などを見て思わず苦し気な声を出すことなので、この場合は「浮かされる」が正しいです。
- ✖「優秀の美を飾る」⇒〇「有終の美を飾る」
「最後までやり通して立派な成果を上げること」です。「有終」は最後を全うするという意味なので正しく、優れているという意味の「優秀」を使うのは間違いです。
- 「実もふたもない」⇒〇「身もふたもない」
器( うつわ) の物を入れる部分(身)もなければ蓋もない、つまり 器にも入っていない様子から、転じて「 露骨すぎて情味も含蓄もない。 直接すぎて話の続けようがない」の意味なので「身」が正解です。
- 「采配を振るう」⇒〇「采配を振る」
神事のほか、むかし戦場で大将が兵士を指揮するために采配を振って使ったことから「振る」が正解です。
- ✖「足元をすくわれる」⇒〇「足をすくわれる」
「足元をすくう」は誤用とする根拠として、「すくう」は相撲技の「小またすくい」のように横にはらうことをいい、具体的な体の部分である「足」でなければ、すくえないという点がよくいわれます。
おそらく「足下を見られる」「足下につけこまれる」「足下に火が付く」など、“足下”を用いた慣用句・ことわざと混同しているケースも含まれていると思われます。
- ✖「口先三寸」⇒〇「舌先三寸」
「口先だけで巧みな弁舌なこと」の意。「舌先」には言葉や口先という意味があるので「舌先三寸」という言い方が正しいのです。
- ✖「取りつく暇もない」⇒〇「取りつく島もない」
「航海に出たもののたどり着くべき島がない」という困った様子を例えたことわざなので「島」が正解です。
まとめ
ビジネスシーンに限らずご家庭でも気の合う仲間たちでも、時として「語彙力」が円滑な関係を保つ重要なスキルの一つであることは間違いありません。
ビジネスの場合ほど気を使う必要はないかもしれませんが、「相手の思っているであろうこと」「言いたいこと」を察知して、相手の感情を慮って接することには「語彙力」は有用です。
自然と「語彙力」を使いこなすには常日頃から「言葉」に興味を持って、その応用、組み合わせなどを意識してシミュレーションしていくことが良いと思います。
まず読書などのインプット、合わせて相手に伝えるアウトプットそしてワークフレームを知っておくことをおススメします。
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