いま話題の「SDGs」の本当の成り立ちを知る
女性誌部数No.1の雑誌「ハルメク」をグループで発行する(株)ハルメクホールディングスのアンケートによると《SDGs》の認知度は、「言葉は知っている」人まで含めると87.6%。「内容を知っている」という人でも64.4%の高い数値を得られました。
なかでも60代以上は80%以上の認知となり、「再生可能エネルギー」「脱炭素」「フードロス」などの関連ワードの認知は、概ね60代以上のシニア層が高いという結果が出たそうです。
ミドルシニア層でも異常な関心を集める「SDGs」ですが、一般にはあまり認知されてない本当の目論見があるようです。
まずは日本のミドルシニア層の認知・取り組みの現状をまとめてみました。
《SDGs》の認知・取り組みの意向は70歳台が高い
ハメルクのアンケートによると、20~79歳までのアンケート対照の世代別意識の違いが浮き彫りになりました。
- 認知度について、「言葉は聞いたことがある」程度を含めた数値は全世代で87.6%、うち70代は72.0%と他の世代より高い数値を表しています。
- 取り組みの意向について、「取り組みたい」「まあ取り組みたい」と答える人は全世代では56.6%ですが、60代では62.0%、70代では76.5%と高水準の数値が見て取れます。
特に70歳代は高度経済成長期やバブル景気の渦中で青春を謳歌した世代で、その頃の浪費姿勢や便利さに慣れ過ぎたという反省から関心が高いという事もありますし、日頃から「もったいない精神」を持っていて「自然との共生」や「モノを大切にする」という素地があるので抵抗が少ないという事が読み取れます。
そもそも「SDGs」とは
8割以上の方が知っている《SDGs》についてここで説明するのも恐縮ですが、先の展開があるのでザッとおさらいすると
《SDGs》とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。発音は、SDGs(エス・ディー・ジーズ)です。
《SDGs》は2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。《SDGs》は発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
参考サイト:外務省公式ページ「SDGsとは?」より
《SDGs》採択までの歴史
ここで表向きの《SDGs》採択までの流れをざっとおさらいします。
- 2001年に国連総会で、地球上から様々な形の貧困をなくすことを目指し「極度の貧困と飢餓の撲滅、初等教育の達成、乳幼児死亡率の削減、HIV/エイズ、マラリアなど感染症の防止、ジェンダー平等の推進」など8つの分野で、1990年を基準年とした具体的な数値目標を掲げ、2015年末に達成することを約束するミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs)が採択されました。
- しかし一部の分野分野で目標に達せられなかったことや、地球から貧困をなくすという課題設定から、達成を求められたのはおもに開発途上国であり、先進国に対しは途上国から寄せられた不信が残りました。
- 国際的な環境の大きな変化や、先進国、途上国の分け隔てなく目標達成を求め2015年9月の国連サミットで全会一致で《SDGs》が採択されました。2030年を期限とする包括的な 17の目標を設定されています。
《SDGs》から透けて見える目論見
国連発信の《SDGs》は「世界的な人類にとって明るい未来を実現するためのゴール」という、いかにも耳心地のイイ正義を思わせるスローガンを宣言しています。
しかし見識深いミドルシニアの方は当然お気づきでしょうが、いかにも話が上手過ぎますよね。
国連加盟国193か国、人種も違えば主義も主張も、言語も文化も異なる加盟国に対して各国一様に、「これからも世界が経済、社会、環境のバランスをとって総合的に発展するため」に国連が定めた国際的な活動方針で、スローガンが「地球上の誰一人取り残さない」ということを謳って、2030年までに実現したい国際目標ということなんです。
なんか、「きれいごと過ぎる」感じがしませんか?「ほんと実現できるの」と思いませんか?
「持続可能な世界を実現するための17ゴールと169のターゲット」の内容を読んでも、至極ごもっともな事ばかりで、反論余地がない内容ばかりで構成されています。
ハルメクのアンケートで、若者世代の回答で「今、ブームのように感じる」「興覚め感がある」という答えがありました。
一方、70代では「便利に慣れ過ぎた反省」とか「義務と捉える」と捉えています。
これがまさに世代間で異なった感覚を如実に表した比較となりました。
この《SDGs》の成り立ちを冷静に見つめた場合、若者の感覚が近いように思います。
つまり「うまい話には裏がある」との言葉の通りすべて鵜呑みにするのはどうかな、ということです。
そもそも「国連」とはなんなのか、《SGDs》はなんで提唱されたのか、がキーポイントです。
「国連」とは
「国際連合」の前身「国際連盟」は第一次世界大戦後の1920年、史上初の国際平和機構として設立されましたが、1939年の第二次世界大戦開戦を防ぐことが出来ませんでした。
それには日本の国際連盟脱退やドイツ、ソ連、イタリアなどが続いて国際連盟を脱退したことが第二次世界大戦を阻止できなかった理由の1つであると言われています。
そんなことで第二次世界大戦中、国際連盟は活動を停止していましが、将来の戦争を防止するため、紛争を平和的に解決する仕組みを作ろうという機運が戦勝国の指導者たちの間で高まり、終戦から約2カ月後の1945年10月24日に実現しました。
加盟国となったのは、戦勝国のアメリカ、イギリス、ソ連、中国を中心とした51カ国です。
つまり「もう二度と戦争をするなよ」と枢軸国に対してクギを刺す戦勝国側の思惑が色濃い組織であったわけです。
現在の国連(国際連合)は英語で(UNITED NAITIONS)、直訳すれば「連合軍」。これは第二次世界大戦期にアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が敗戦国となったドイツ・イタリア・日本などの「枢軸国」に対して戦勝国が正義の「連合国」という意味で作った言葉から始まっていて「国際連盟」とは別の組織です。
国連(国際連合)を世界政府だと認識している方もいると思いますが、国連は加盟国が決定したことを実行する機能を持ちますが、各国の政府や国民を代表する機関ではありません。
そしていまだに「平和のための機関」と本気で思わされているのは戦後教育を受けた日本人だけかもしれません。
日本は「常任理事国の分担金」でも「平和維持活動費」においても、アメリカや中国に次いで3番目に出資している国でありながら国連においての地位は高くありません。
むしろ「お人よしの金持ちな国」くらいしか思われていませんし、いまだに国連安全保障理事会常任理事国にもなれていません。
日本の想いとは別に国連加盟国の多くは自国の利益を最優先に考え、いかに優位にあるべきかを常にけん制しあっているのです。
「SDGs」は独占利益確保の大義名分
そんな「国連」が提唱した《SDGs》は、その目標が達成されることに意義があるのではなく、いつまでも未達成でその反省の繰り返しこそが目的のように感じる事実があります。
「到底達成できそうもない目標内容」「達成期限の短さ」「達成規模の大きさ」などから、その達成が難しいことを知りながら「国連」は世界共通の達成目標と言い、国家ではなくむしろ企業にその社会的役割を担わせようとしているようです。
GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)においても《SDGs》は実に使い勝手のいいスローガンであり、徹底した利益追求活動に大義名分を与えてくれるものだと認識している節があります。
企業は《SDGs》の掲げる耳触りのイイ、誰も否定しにくいスローガンを実行する使命感を演出することで、堂々と独占的な利益確保のための経済活動に励めばいいというわけです。
日本人は使命感に燃えて「国連が提唱する《SDGs》 だからなんとか頑張るぞ ー!」ってなりがちだし、反面インドやアフリカ、東南アジアからも取り残される日本企業は日本市場という内側の箱庭だけを見続け、外の世界に目を向けてこなかったツケが《SDGs》でハッキリ浮き彫りにされたという状況です。
まとめ
「ハルメク」のアンケートによる60代、70代の認知度の高さや、取り組み意識の高さは高く評価されるものだと思うし、「自然を守りたい」「地球を次世代につなぎたい」「子供や孫の世代を守りたい」「無駄を少しでもなくしたい」という崇高な思いはこれからも続けていただきたいし、自分も続けていきたいと思います。
しかしシニア世代になったからといって、「国連の思惑なんかどうでもいい」、「《SDGs》の目論見なんかどうでもいい」と切り捨てないで、たまには世界に目を向けてみると面白いことが分かると思いますよ。
今回の記事に大きく参考とさせていただいた書籍をご紹介いたします。
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SDGsの正体 メディア報道ではわからない真の目的とは 村井 哲之著
関連用語の説明
蛇足ですが《SDGs》を理解するうえでよく出てくる関連用語の説明を加えさせていただきます。必要のない方はこの項は飛ばしてください。
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