住宅リフォームは準備段階で成功の80%が決まる
現役のリフォーム業界人の話によると、満足できるリフォームが実現するかどうかは業者に発注する前の準備次第によって80%が決まるそうです。
「リフォーム業界はクレーム産業」と自らの業界を分析する業界人が教えくれる失敗しないリフォームの秘訣をまとめました。
その前に50代60代のリフォームの状況を見てみましょう。
50代60代は住宅リフォーム適齢期
住宅は新築から20年位経過した時期のメンテナンスが大事だと言われています。
30代40代の頃に夢の新築住宅を実現した現役50代60代の方がまさにそのメンテナンスと向き合わなければいけない渦中の人なのです。
また50代60代ともなると現役リタイアがかなり現実味を帯びる時期でもあり、子供たちも巣立って行ったり、人によっては親の介護などにも直面する、まさに第二の人生のターニングポイントでもあります。
事実、一般社団法人/住宅リフォーム推進協議会の調査によると、50代60代のリフォーム実施者は、合わせて58.1%、契約検討者に至ってはなんと69.2%という数字が浮き彫りになりました。
まさに50代60代は住宅リフォームを「やりたい世代」または「やらなくてはいけない世代」なのですね。
「人生100年時時代」と言われる昨今、職場リタイア後、健康で暮らせる期間(健康寿命)も着実に伸びているなかで、終の住まいになるかもしれない家に今一度真剣に向かい合う時期なのですね。
後悔しない50代60代の住宅リフォームのための5つのポイント
いまだに男社会の色濃いリフォーム業界にあって20年も前から現役でいろいろな経験を積まれた「暮らしリフォームコンサルタント + Comfort( プラスコンフォート) 」 代表の高橋 真美子さんが出版された書籍「本当に聞きたかったリフォームのことが分かる本」から、知って得するリフォームのポイントを探ります。
後悔しないための住宅リフォームを実現したいなら次のポイントを理解して実践することが重要です。
1.自分の理想とする形をできる限り具体的にしましょう
貴女の望むリフォームの形は貴女の頭の中にしかありません。
まずは、リフォームをしたい理由を明確にします。
たとえば50代の貴女だったら、
- 子どもが独立して夫婦二人で暮らすには使い勝手が悪い
- 親の介護が必要になった
- ホームワークの時間が長くなった
- 動線に段差があり危ないのでバリアフリーにしたい
- 壁や床がはがれ、一部カビが出たなど老朽化が目につくようになった
- キッチンが広すぎる
- コロナの影響で在宅時間が長くなったため家のことが気になりだした
などではないでしょうか。
それらのキッカケから貴女が考えるリフォームのイメージを明確にして、いかに第三者に的確に伝えられるかを具体的にまとめるということです。
例えばご友人が「あなた好みのおいしいオムライスを作ってくれる」という機会があったので貴女は「とにかくおいしいオムライスを作って。」とお願いしたとします。
お友達は持てる技術で考えられる最高のオムライスを貴女に差し出しました。
たしかに「おいしいオムライス」なんですが、貴女が本当に望んだオムライスは「素朴な味のするケチャップライスを硬い卵でコーティングしたものだったとしたら、「確かにおいしいけど、私の望んだオムライスは違うんだよなあ」と心の隅にわだかまりが残ってしまうかもしれません。
食べ終わった後でそれを言ったら、「それ最初に言ってよ~」ってことになりますよね。
たとえが陳腐で申し訳ありませんが、ご友人は自分の考える「おいしいオムライス」を貴女のために作りました。ですが貴女の好みがよくわかっていなかったので貴女が満足するオムライスではなかったということです。
リフォームを依頼する時にも「明るく風通しのいい形」とか「北欧風のイメージにしたい」、「とにかく家事がしやすい動線がいいな」どと漠然としたイメージを言っても誰にも伝わりません。具体的にどうしたらいいかわからないからです。
「プロなんだからその辺は察して提案してよ」なんて思ってもそれは無理な話です。
リフォームでクレームになるケースが多いのがこのコミュニケーション不足によるすれ違いなのです。
どのようにリフォームしたいかと咄嗟に聞かれると迷いますね。普通に生活する中で意識して問題点を記憶しておかないと気が付きにくいものです。
- コンセントの数が足りない、コンセントの高さが気になる
- 壁のクロスがはがれている、カビが発生している
- サッシの結露が出やすい
- 部屋が寒すぎるまたは暑すぎる
- 収納スペースは足りない、収納場所が高すぎる
- キッチンカウンターは低すぎる、または高すぎる
- 照明が少なくて暗すぎる、または明るすぎる
- 夫婦2人なのでキッチンが広すぎる
- 介護するのにトイレが狭すぎる、廊下や浴室、トイレに手すりが欲しい
- 玄関の段差をなくしたい、玄関に腰掛けるスペースが欲しい
- キッチンの吊戸棚の重い土鍋などを取り出すときいつも危ない思いする
- キッチンカウンターの脇をワークスペースにしたいのでコンセントが欲しい
など、自分の実現したいリフォームの形は、そのイメージや思いを言語化したり、イメージに近いデータ(本やネットの画像など)で説明しなければ伝わらないのでそのための準備がまず必要なんです。
2.整理整頓をしましょう
リフォームを考えたら各部屋、玄関、キッチン、リビング、洗面室、トイレ、寝室などの整理をしてみることをおススメします。
整理収納をしてみると意外なところに傷、ひび、痛み、カビ、害虫被害などを見つけたり、家の老朽化などに気付き、頭の中も整理されます。
部分リフォームの場合は、既存生活をしている場所で行われることもあるので、工事をする場所の確保や工事中生活を続けるためにも整理整頓をしておくことが大事なんです。
この際いらないものは思い切りよく処分して整理してみるとよくわかることがあります。
- 物を整理することで物理的に空間が増え工事の時の負担が減る。
よって無駄な手間が減るので余計な予算がかからなくなることがある。 - 今まで当たり前に暮らしていた家の中を整理することで自分の価値観に気付き、リフォームをすべきところが見えてくる
- 整理をすることで、「ここも直しておけばよかった」などという後悔が減り、満足度が上がる。
などのメリットが考えられます。
3.リフォームはプロジェクトであり、キーパーソンは奥様です。
リフォームをするという事は、お願いする側と請け負う側という縦割りの関係ではなく、リフォームのイメージを具体化したソフトの面と、実際のリフォーム工事というハードな面の共同作業だというプロジェクトであるということです。
プロジェクトの仲間という意識あれば、
- 担当者の気心が分かる
- 見積もりの内容で協議しやすい
- 現場の業者のモチベーションが違う
- 作業効率が上がる
- 多少の無理も聞いてくれる可能性がある
- アフターメンテナンスも期待できる
- クレームになる前に改善できる
などのメリットも多くなりトラブルが少なくなります。
そのリフォームプロジェクトの中心である人(キーパーソン)は奥様(あるいは家事をおもに担う人)であるべきです。
一般的に男性(旦那様)は家事に無頓着で、家の使い勝手や老朽化などには気付かないひとが多いのではないでしょうか。
奥様は、新築依頼20年から30年、その家で家事を担い、使い勝手のよし悪し、痛んでいる箇所など一番よくご存じの方です。
つまりリフォームは家の中で一番家を理解している奥様のためのプロジェクトであり中心となるのも奥様なのです。
4.コミュニケーションは理解するまで根気強く
仕事でも同じですが何かを始めるときには、かかわりのあるすべての人と意思の疎通が大事ですよね。
まずは奥様、旦那様をはじめ同居するご家族すべてとコミュニケーションを徹底しておくことがのちのちのトラブルを防ぐ最良の手段です。
リフォームは思いつくのは簡単ですが実際すすめていくと面倒くさくて細かい作業が必要になるので、家族もなかなか本気で協力してくれるとは限りません。
といって、実際リフォームが完了すると「ここは前のほうが良かった」とか「もっとこうして欲しかった」などと家庭内クレームが起きることがあります。
せっかく良かれと思ったリフォームなのに、涙が出るほど残念ですよね。
このような思いをしないように、まず身内のコミュニケーションから始めましょう。
その次は工事担当窓口、プランナー、コンサルタントの方などの間のコミュニケーションです。
自分の描いたリフォームの形をしっかり伝えるためにも、工事担当者との相性を知るためにもしっかりコミュニケーションをとりましょう。
5.リフォームの仕組みを理解する
ここでいう「リフォームの仕組み」とは実際現場で行われる技術的なことを理解しようということではありません。
「リフォームをすること」という本質を理解することです。
リフォームは新築住宅や中古物件を購入するのとは違い、普段生活している空間がどう変わるかの結果が分からないうちに契約をして、いざ工事をすすめると予想も出来なかった老朽部分が発見されることがあり得るし、1つとして同じ工事がないリフォームはそのつど現場対応する工事だという事です。
部分的な工事だったらそのまま生活できることがありますが、キッチン、浴室などの工事の場合日常の生活が出来ない期間はどうするかを事前に決めておく必要があり、その費用も考えておくことが大事です。
だから見積もりを検討する時、打ち合わせをする時、契約をする前はそのような不測の事態にどうするかを工事関係者(窓口や営業)と予め取り決めをしておくことが大切なんですね。
【業者選び】のコツ:こういう業者は避けましょう
なんの縁故もなく紹介もなく知識もない状態で満足のいくリフォーム会社に出会うという事はかなりハードルが高いです。
では、どんな業者がいいのでしょうか?
「この会社に依頼すれば間違いありません。」などと無責任なご提案はできませんが、「こんな会社は避けましょう」ということは言えます。
避けたい業者その1:訪問会社・電話営業をしてくる会社
意外と知らない人が多いのですが、驚くことに通常リフォーム業者は、何らの公的な許可、資格は必要ありません。
厳密に言うとリフォーム工事代金が500万円を超えると、建設業許可が必要になりますが、リフォーム工事のほとんどは500万円を超えないケースなので、実質的には何ら公的な許可も資格もなく行えるということなんです。
だから極端な話、誰でもリフォーム工事を請け負うことができるということなんですね。これもリフォーム業界がグレーとみられる原因の一つでもあります。
訪問してくる会社、電話アプローチをしてくる会社はやっぱり得体が知れないので要注意です。
リフォームは依頼する方が主体ですから、「屋根がおかしい」、「外壁がはがれてる」、「床下を見せて欲しい」、「インタホーンが壊れてる」など相手の不安を誘う言葉にはその場で対応せずに、ハッキリ必要ありません。と答えましょう。
「結構です」という言葉は相手のいいように解釈されてしまうことがあるので使わないようにしましょう。
避けたい業者その2:「無料サポートをします」という会社
大きなリフォーム工事で、ある程度高額な予算が掛かると思える案件の場合には、会社の方針として「サポート費用」は無料サービスにしようというケースもないことではないのですが、企業として利益を割いてサービスをするという事はあり得ません。
ご主人も会社で営業の経験があったり自分で会社を経営していればわかると思いますが、仕事にボランティアはありえません。
もしかしたらその費用は他の部分に上乗せされているか、安価な資材を使われるか、人件費を削っているなど経費を削減するはずです。
どう考えても「値引き率が高い」とか「セールス期間中につき〇〇〇万円値引きします」などという甘い言葉は敬遠するのが賢明です。
コンサルティングやサポート費用を実費請求してくる会社がありますが、全体的にみたらその方が健全で良心的で安心だと考えられます。
避けたい業者その3:リフォームが専門でない会社
建築会社・不動産会社にリフォームをお願いすると、リフォーム部門が得意でない会社があります。
その場合、リフォームの工事は関連会社などの外注になることが多いので大手の会社でもリフォームの専門の部署があるかどうか確認してみることも大切です。
一番困るケースは知人や友人からリフォーム会社を紹介された場合です。
知人・友人の方はきっと貴女に良かれと思って紹介してくたのでしょうが、もし紹介された業者が貴女がリフォームしたい場所があまり得意でないという場合です。
紹介してもらった手前困った問題ですが、出来ればご紹介いただいた知人・友人にリフォームした場所を見せてもらうようにしてください。
そこで納得すればいいのですが、あとで後悔が残るようなら丁重にお断りすることものちのちのために重要なことですね。
避けたい業者その4:過去の実績を見せてくれないもしくは適当な記録しかない
その会社の良し悪しを知る方法の一つとして、「過去の実績を見せてください」とお願いしてみるのもいいですね。
即座に対応してくれて、きちんとした資料を見せてくれたら安心な会社だと判断できます。
つまりリフォームした現場に真面目に対応しているという証でもあり、アフターメンテナンスも安心だという事も見て取れます。
その際対応してくれた社員の方の態度にも注意してください。真摯な態度の接客はその会社の姿勢の表れです。
業者選びの足掛かりは
業者紹介サイト(見積もり比較サイト)
業者探しの足掛かりの一つとして、匿名で複数社から相見積もりのとれるサイトの活用です。
最初のとっかかりとして貴女のお近くのリフォーム専門会社の見積もりを比較して、検討してみるのも有効な手段ですね。
- リフォーム比較プロ
小さなリフォームから全面改修まで 全て対応しているサイト開設から5年以上、類型利用者数30万人を超える総合リフォーム比較サイトです。
スタッフが随時お客様からのヒアリングを行って評判が悪い業者については 登録削除される仕組みになっています。 - リフォーム見積もり比較サイト【ハピすむ】
東証一部上場企業エス・エム・エスが運営するリフォーム費用見積もり比較サイトです。 全国1000社以上のリフォーム会社からお近くの地域で ご希望の条件に合わせて優良リフォーム会社を探してご紹介してくれます。 - 【リショップナビ】
特定の厳格な審査基準をクリアした会社のみが加盟しており、 各社のショップ情報やリフォーム事例はもちろん、 リフォームにかかる費用や工事期間を記載したプラン詳細をWebサイトにて公開しております。
「見積もりが安いところに決めよう」ということではなくあくまでも絞り込む目安として活用するのには有効です。
良さそうな会社が見つかったらなるべくその会社をご主人同伴で訪問してみましょう。
接客態度、会社の中が整然としているかなど直にあって相手を見極めることも必要です。
接客や営業に長けたご主人が感じた印象がきっといい判断の目安になるはずですから。
リフォームの相談会・ショールーム見学・セミナーなどに参加する
最新のリフォームのことやお悩み事の相談などモデルルームに足を運んで直接聞いてみて相談するのもいいことです。
材質やサイズ感、カラーリングからインテリアのことなど見て手に触れて実感することは貴女のイメージを具体化するためにはいい経験だと思いますよ。
リノべる。
中古マンションや一戸建てのリフォーム・リノベーションを全国展開で実施している会社です。
物件探しからアフターまで一社完結で施工してくれますので安心で煩わしい手間も極力カットできます。
定期的に全国でセミナーを開催していますので参加してみてはいかがですか?
まとめ
「住宅のリフォーム」には近道はありません。王道もありません。
リフォームの数だけリフォームの形があります。
近道はありませんが、後悔しないリフォームを実現するための方法はあります。
それは、事前準備です。
- リフォームの目的をはっきりすること
- リフォームのイメージを具体的に伝えられる様にすること
- 工事の前に整理整頓をしておくこと
- リフォームはプロジェクトであることを理解しその中心は奥様であることが望ましい
- 充分なコミュニケーションを心掛けること(家族・依頼先担当者・現場監督など)
- 出来れば体力がある50代で実施することがいい
事前準備が十分出来れば、大きなトラブルやクレームにつながることを回避することが可能です。
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