もともと「壁打ち」は、テニスや卓球、サッカーなどの球技に関するスポーツ用語としての意味を持つ言葉でした。
スポーツ用語の「壁打ち」は、一人で壁に向かってボールを打つなどする練習方法のことですが、その様子を、言葉というボールを誰かに気楽に受けてもらい、その反応を見るという行為になぞらえて【壁打ち】といっています。
最近ではビジネス用語としても「壁打ち」が用いられるようになり、特に新規事業のスタートアップや経営者のルーティンのひとつとして注目されています。
しかし、壁打ちの意味からいうと、「壁」係の聞き手がいて、問題を抱える打つ人がいて、「壁打ち」を続けるうちに解決が見えてくるというならばビジネスシーンの話じゃなくてもいいはずですよね。
そんなことから生活していくうちにぶつかる場面での「壁打ち」について徹底検証してみました。
ここでいう「壁打ち」とは・・・
話の初めに共通認識としてこの記事で扱う【壁打ち】についての説明をさせていただきます。
以下に言葉の【壁打ち】の7つの要点にまとめてみました。

- 壁打ちの主体は自分にあること
- 壁打ちをする目的が漠然とでもわかっていること
- 壁になる人はあなたのことをある程度理解している人であること
- 壁打ちによる結論をあえて求めないこと
- 壁打ちはカウンセリングや相談ではなく相手に答えを求めないこと
- 壁打ちの目的は「気づき」「発想の享受」「心の整理」を目的にすること
- 壁打ちは、自分も壁役の人も、お互いに「気楽に」「無責任に」行うことが大切
と考えています。

ここでいう【壁打ち】とは文字通り、壁となる人との言葉の打ち合いです。
主体はあくまでも壁になる人に【壁打ち】をお願いする自分です。
【壁打ち】の目的、つまり解決したい問題や自分だけで抱えていた悩みなどの自分なりのテーマ(漠然としていてもかまいません)がブレないように打ち合いをすることが大切です。
壁打ちは「答えが出なくてもいいからとりあえず喋ってみる」ことに主眼が置かれます。
喋ることで思考が整理され、「自分が気づいていなかったことに気づく」「他人には見えるが本人には見えていないことが見えてくる」からです。
決してカウンセリングや相談ではなく、自分のもやもやとした気持ちや解決の糸口を整理し、自分なりの結論を出すための言葉の打ち合いなのです。
重要なポイントのひとつに、壁打ちの相手になる人(ここでは壁といっています)=話を聞いてくれる人は、あなたの性格を理解していて、悩みや問題に直接関係がない方が望ましいです。
【壁打ち】には3つのメリットがある
まるで雑談のような言葉の【壁打ち】ですが、雑談と決定的に違う点は壁打ちをする人に明確な目的があるということです。
このような【壁打ち】には下記のように3つのメリットがあります
①自分の中にある悩みや解決策を明確にする効果がある
【壁打ち】は、壁打ちをする人の思いの中に問題意識や解決する方法がある程度見えていることが前提です。
自分では解決に到達していない点が、壁となる人との気軽な言葉のキャッチボールで解決のピースが埋められるようにその問題に対して、はっとした気づきをもたらしてくれる期待が大きいのです。
たとえて言えば、すでにあなたの潜在意識に解決策はあるのに、そこまでたどり着く標識が見えていなかった状態だといってもいいかもしれません。
その標識を示してくれるのが【壁打ち】なのです。
②有益な情報やアイデアが得られることがある
あなたの気持ちの中で解決しない部分やすっきりしないことに対して、ぜんぜん別の方向からアイデアや有益な情報を得ることが、往々にしてあります。
よくあることですが、自分がかかえる問題や悩みはすでに自分一人で考え続け、いわゆる煮詰まった状態にあることが多いようです。
そのようなジレンマに対して、考えもしていなかった意見が飛び出して、それが解決のきっかけになることもあるんです。
また【壁打ち】をしている間に自分が知らなかった情報を得ることができることがあるものです。
③「根回し」と同じ効果をもたらす
特にビジネスシーンや職場の悩みについて、「壁」となる人と壁打ちを依頼した人の考え方や、どんな問題を抱えているか、また悩みを持っているかを共有することで、「根回し効果」が期待できます。
「あいつはこんな問題に直面しているんだ」「こんなことを悩んでいるんだ」ということを知ってもらうことで、「例えばこんな情報をお客様から聞いたけど、どう?」などのアドバイスが期待できますね。
ただし、この場合「壁」となる人選は、当然慎重に行う必要があります。
人間関係の改善や自己成長のための【壁打ち】

壁打ちは、人間関係や自己理解を深める場面でも有益です。
第三者に話すことで、自分の思考や感情が整理され、対人関係の課題を明確にできます。
例えば、人間関係の悩みを抱えている場合、壁打ちを通じて自分の感情や行動を客観的に振り返ることができます。
相手との関係性を見つめ直し、問題の本質を理解することで、より建設的な対応が可能になります。
また、自己理解を深めることによって、自分がどのようなコミュニケーションの傾向を持っているのか、どのような価値観を大切にしているのかを明確にし、より良い対人スキルを身につけるきっかけとなります。
さらに、他者からのフィードバックを受けることで、普段気づきにくい自分の言動のクセや、改善すべきポイントを知ることができ、自己成長につながるでしょう。
重要なポイントは壁の人選
壁打ちを効果的に行うためには、適切な相手を選ぶことが重要です。
適切な相手を選ぶことで、より客観的な視点を得られ、より良いフィードバックを得ることができます。
壁打ちの相手に適した人の特徴
(1) 冷静で客観的な視点を持つ人
感情的になりにくく、冷静にアドバイスできる人が理想的です。
- 例:論理的思考が得意な友人、カウンセラー
- 理由:感情的にならずに、客観的な意見を提供してくれるため
(2) 聞き上手な人
自分の考えを整理するためには、しっかりと話を聞いてくれる人が必要です。
- 例:共感力のある友人、上司や先輩
- 理由:安心して話せる環境を提供し、自分の考えを引き出してくれるため
(3) 経験豊富な人
似たような状況を経験したことがある人は、実践的なアドバイスをくれます。
- 例:人間関係のトラブルを乗り越えた経験がある人
- 理由:実体験に基づくアドバイスは、具体的で参考になりやすいため
(4) 自分と異なる価値観を持つ人
異なる視点を持つ人と話すことで、新しい気づきを得ることができます。
- 例:自分とは異なる業界や文化の人
- 理由:一面的な考え方を避け、柔軟な思考を促進できるため
(5) 厳しくも的確なフィードバックをくれる人
ただ同調するだけでなく、必要な指摘をしてくれる人が役立ちます。
- 例:正直な意見を言ってくれる友人、メンター
- 理由:自己改善につながる具体的な助言をもらえるため
3. 避けるべき相手
壁打ちの相手として避けるべき人もいます。
- 過度に感情的な人:冷静な議論が難しくなる可能性がある
- 否定ばかりする人:建設的な意見を得られない
- 自分の話ばかりする人:壁打ちの目的が果たせなくなる
人間関係の改善を目的とした壁打ちでは、冷静で客観的な視点を持ち、聞き上手で的確なフィードバックをくれる相手を選ぶことが重要です。
また、自分とは異なる価値観を持つ人との対話も新たな視点を得るために有効です。
恋愛や結婚に関する悩みについての【壁打ち】

恋愛や結婚生活においても、信頼できる第三者と話すことで、自分の考えを整理し、適切な判断を下せることがあります。
特に、恋愛においては相手との関係性や価値観のズレを客観的に見つめ直す機会となり、より良い選択をする助けになります。
結婚生活では、長期的な視点でのパートナーシップの在り方や、家庭内での役割分担、コミュニケーションの取り方について第三者の視点からアドバイスを得ることで、より円滑な関係を築くことができます。
また、信頼できる相手に話すことで、感情の整理がつき、冷静な判断ができるようになります。
1. 壁打ちの相手を選ぶ重要性
恋愛や結婚に関する悩みは個人的かつ感情的なものが多いため、適切な相手を選ぶことが重要です。
適切な壁打ちの相手を選ぶことで、冷静な視点を持ちながら、自分の気持ちを整理しやすくなります。
2. 壁打ちの相手に適した人の特徴
(1) 冷静かつ客観的な視点を持つ人
恋愛や結婚の悩みは感情が先行しやすいため、客観的な視点を持つ人が適しています。
- 例:カウンセラー、論理的な友人、年長の経験者
- 理由:感情的にならず、現実的なアドバイスをもらえるため
(2) 信頼できる経験者
恋愛や結婚生活を経験している人からは、実践的な助言を得られます。
- 例:長く付き合っているカップル、結婚生活が安定している人
- 理由:実際の経験を基にしたアドバイスが参考になるため
(3) 聞き上手で共感力のある人
悩みを打ち明ける際には、しっかりと話を聞き、共感してくれる人が大切です。
- 例:親しい友人、心理カウンセラー
- 理由:安心して話せる環境を提供し、気持ちを整理しやすくなるため
(4) 自分とは異なる価値観を持つ人
視野を広げるためには、異なる価値観を持つ人と話すことも有効です。
- 例:異文化の背景を持つ友人、異性の友人
- 理由:偏った考え方を避け、多角的に物事を捉えられるようになるため
(5) 率直かつ建設的なフィードバックをくれる人
ただの慰めではなく、現実的な解決策を提示できる人が適しています。
- 例:厳しくも思いやりのある友人、メンター
- 理由:自己改善につながる具体的な助言を得られるため
3. 避けるべき相手
壁打ちの相手として適さない人もいます。
これも人間関係改善の壁打ちと共通する人間像ですね。
- 感情的すぎる人:冷静なアドバイスが得られず、さらに悩みが深まる可能性がある
- ネガティブな考えを押し付ける人:建設的な話ができず、気持ちが落ち込む原因になる
- 自分の話ばかりする人:悩みを整理する時間が奪われ、目的が果たせなくなる
恋愛や結婚に関する悩みの壁打ちでは、冷静で客観的な視点を持つ人、信頼できる経験者、聞き上手な人を選ぶことが大切です。
また、自分とは異なる価値観を持つ人や率直なフィードバックをくれる人との対話も、新たな気づきを得るのに有効です。
健康管理やメンタルヘルスに関する【壁打ち】

健康やメンタルヘルスについての場合は、専門的要素が多くて、カウンセリングやアドバイスという傾向が強いようです。
あえて【壁打ち】とするならば、健康の不安に対する情報共有や、メンタル的なストレスを発散するための一助と考えた方がいいようです。
例えば、健康面では、栄養士やパーソナルトレーナーと定期的に話すことで、食生活の改善点を見つけたり、適切な運動習慣を身につけることができます。
また、ストレス管理においても、心理カウンセラーやメンタルコーチとの壁打ちを通じて、不安や悩みを整理し、精神的な負担を軽減することができます。
特に、仕事や人間関係によるストレスが蓄積しやすい現代において、定期的な壁打ちはメンタルヘルスの維持に不可欠な手段となります。
1. 壁打ちの相手を選ぶ重要性
健康やメンタルヘルスに関する悩みは、個人の状態や環境によって異なります。
そのため、適切な壁打ちの相手を選ぶことで、的確なアドバイスを受けられたり、考えを整理する手助けをしてもらえます。
2. 壁打ちの相手に適した人の特徴
(1) 専門的な知識を持つ人
健康やメンタルヘルスに関する知識がある人は、科学的根拠に基づいたアドバイスを提供できます。
- 例:医師、心理カウンセラー、栄養士、フィットネストレーナー
- 理由:感覚的な意見ではなく、実証された情報をもとに助言してくれるため
(2) 信頼できる経験者
同じような悩みを経験したことがある人は、実際に役立つアドバイスをしてくれることが多いです。
- 例:うつ病や健康管理を克服した人、習慣改善に成功した人
- 理由:自身の経験をもとに、実践しやすいアドバイスが得られるため
(3) 聞き上手で共感力のある人
健康やメンタルヘルスの悩みはデリケートなため、安心して話せる環境を作ってくれる人が適しています。
- 例:親しい友人、家族、信頼できる上司
- 理由:安心感を得ながら、気持ちを整理しやすくなるため
(4) ポジティブな考えを持つ人
前向きな視点を持つ人と話すことで、気持ちが軽くなりやすくなります。
- 例:前向きな考え方を持つ友人、メンター、コーチ
- 理由:悲観的な気持ちを和らげ、希望を持ちやすくなるため
(5) 客観的なフィードバックをくれる人
感情に流されすぎず、冷静な視点で意見をくれる人も重要です。
- 例:ロジカルな思考を持つ知人、仕事の先輩
- 理由:感情的になりすぎず、バランスの取れた視点を持てるようになるため
3. 避けるべき相手
これはすべての場面でも共通の性格のようです。
つまり、【壁打ち】の意味を理解せず、相談されたら真剣に答えなきゃという熱血漢か、すべて自分の尺度で判断する人か、もしくは人の話をきかない自己中の人といえますね。
- 過度に否定的な人:ネガティブな意見ばかりで、余計に落ち込んでしまう可能性がある
- 感情的になりすぎる人:冷静な視点が得られず、問題の本質が見えにくくなる
- 自己中心的な人:相談をしても、自分の話ばかりされてしまい、解決に繋がらない
健康やメンタルヘルスに関する壁打ちでは、専門知識を持つ人、信頼できる経験者、聞き上手な人を選ぶことが重要です。
また、ポジティブな考え方を持つ人や客観的な意見をくれる人と対話することで、より良い方向へ進むための気づきを得ることができます。
適切な相手を選び、心身の健康を向上させる第一歩を踏み出しましょう。