昔から「睡眠時間は8時間がベスト」といかにも一般常識のように捉えられてきた睡眠時間ですが
実は睡眠は体質や性、年齢など個人的な要因に影響されるため「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」と言うのが専門家の見解です。
一方「睡眠時間と死亡リスクの関連」について最もリスクの低い睡眠時間は7時間で、「8時間以上の睡眠はリスクが高まる」という結果がでています。
参考資料
・国立がん研究センター「睡眠時間と死亡リスクとの関連について」より
・睡眠リズムラボ「最適な睡眠時間って何時間?」
睡眠時間は心身の健康に大切なものなのです。
睡眠時間は体内時計が関係しています
年寄りは「寝るのが早いし、起きるのも早い」とよく耳にします。
また「夜中によくトイレに行く」なんてこともよく言われ、シニア本人も実感している人が多いでしょう。
これにはちゃ~んとした理由があります。
「早寝早起き」
人には体内時計というものがあって、「メラトニン」というホルモンの作用により脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」というところから「夜には眠くなり、朝には目が覚める」ようにコントロールされています。
体内時計は毎朝光を浴びることでリセットされ一定のリズムを刻み始めます。
歳をとるとこのホルモンの分泌量が減って、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになり、自然と早起きになり早寝になるということです。
したがって高齢者の方の早朝覚醒それにともなう早寝はそれ自体は病気ではありません。
「眠りが浅い」
年をとると睡眠が浅くなります。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになり全体的に浅い眠りになってしまうんです。
「年寄りは夜中によくトイレに行く」というのは、眠りが浅いため少しの尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。
また寝床に入ってもなかなか入眠できない傾向があるので、就床時間が長くなる、つまり布団の中にいる時間が長くなりがちということがあります。
その原因と考えられるのには主に2つあって、1つはそもそも睡眠は体力の回復という重要な役割がありますが、悲しいかな高齢になると、社会活動から遠ざかり、日中の活動量が低下するため、当然それを回復する必要が低下して、それにともない必要とする睡眠量も少なくなるということです。
2つ目として加齢に伴って、睡眠と関係の深い神経の働きや、ホルモンの分泌能力が衰えてしまうということが作用しています。
そもそも睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が交互に繰り返すことで形成されています。
ノンレム睡眠は一般的に「深い眠り」と言われるもので、日中フル活動する大脳を休ませる時間帯です.
レム睡眠は、よく夢を見る浅い眠りです。シニアの睡眠はこの「レム睡眠」がずっと続いているような状態になりやすいんですね。
睡眠の重要性
2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳から計算すると、女性では約256,200時間、男性は約238,400時間、年数でいうと女性は約29年間、男性は約27年間を睡眠時間に費やしていることになります。
この人生の1/3を費やすほどの睡眠には、それなりの重要な意味があります。
睡眠の役割
睡眠の役割は主に、3つの効果があるといまれています。
疲労回復
代表的な役割は疲労回復効果です。
日中、フル回移転で活動している脳や身体は、当然休まないと活動が鈍くなったり、機能全体がおかしくなってしまいます。
睡眠はそれらの活動を、半ば強制的に休ませようとする生理的な現象です。
睡眠は深い眠りに入るノンレム睡眠が長いほど、疲労回復しやすいです。「深い眠り」が重要だということはそういう意味なんですね。
記憶の整理・定着
睡眠は起きている時間に経験したり、記憶したりしたことを経理して、脳に記憶・定着させる時間でもあります。
深い眠りのノンレム睡眠時に記憶の整理、浅い眠りのレム睡眠時に記憶の定着を行っているんです。
だから、睡眠時間が十分で、ノンレム睡眠とレム睡眠の約90分周期で繰り返されるリズムが正常でないと、上手に記憶の整理が出来ず記憶能力を生かすことが難しくなります。
細胞の修復・成長
人は眠ることで生命を維持する上で大切な細胞の修復・成長をしています。
細胞の修復・成長に必要となるのが成長ホルモンが日中活動で消耗した細胞に働きかけ、傷ついた細胞の修復や細胞分裂を促し、新たな細胞を作り出しています。
また睡眠不足は免疫細胞が減少する原因にも繋がり、病気になるリスクが高まってしまう恐れがあります。
睡眠不足によるリスク
これほど重要な睡眠ですが、睡眠が十分とれない、質が良くない(寝つきが悪い・眠りが浅い・寝起きがすっきりしない)を続けるとどんなことが起きるでしょうか?
多くの病気の原因になる
これは最近の研究で判明したもので、睡眠不足により様々な生活習慣病にかかるリスクを高めていることがわかっています。
睡眠時無呼吸症候群の方は、高血圧になる恐れがあり、また不眠症の方は、糖尿病になるリスクも高まるようです。
また睡眠不足によって認知症やうつ病のリスクと、脂質代謝が落ちることで、脂質異常症になるリスクも高まることがわかっています。
免疫力の低下
睡眠不足になると免疫細胞が弱くなるので免疫力の低下します。結果的に風邪や感染症にかかるリスクが高まってしまいます。
認知機能が低下する
ミドルシニア世代が一番注意したい認知機能が低下するリスクです。
睡眠不足は脳の認知機能を著しく低下させ、集中力や判断力の低下によるミスが増えます。
またアメリカの研究によると5年以内の認知症の発症リスクは、睡眠時間が5時間超(7~8時間)の人と比べて5時間以下の人で約2倍であると発表されています。
参照:睡眠不足は認知症リスクを高める、5時間未満の睡眠ではリスクが2倍に?
肥満になりやすい
睡眠不足であると消化器系の活動や新陳代謝の働きが鈍くなってしまうことが分かっています。
新陳代謝は時間がかかるほど体重増加を増長させることが分かっていますし、寝不足によって食欲を司る神経も異常をきたし食欲増加を引き起こすことがあり、それらの悪循環によって睡眠不足は肥満になるリスクを高めるのだと考えられています。
転倒リスクの増大
シニアが注意したいことの上位にあげられるのが転倒のリスクの増大です。
睡眠不足は、集中力の低下とともに注意力の低下も引き起こし、それはつまりバランス能力の低下を引き起こし転倒しやすくなるということです。
これはシニアにとって転倒による骨折という最悪な結果になりやすいと言うことで、ここから寝たきり、要介護状態になる事例はよく聞かれます。
介護予防の観点からもシニアにとっては重大な問題ですね。
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充分な睡眠をとるためには
快適で質のいい睡眠を実現するための15カ条をご提案させていただきます。
すべてを今日からというわけではありませんが、出来るところから実践してみませんか。
1)朝に太陽の光を浴びる
一日の約24時間周期というのは地球の自転のリズムによるものですが、人間の体内時計は約25時間と1日より1時間長い周期であることが分かっています。
この1時間のずれをリセットしてくれるのが朝日に含まれる青色のスペクトル成分で、体内時計の針を進め24時間周期に合わせることを可能にする働きがあるのです。
まずは朝起きてすぐに15秒間、窓際1メートル以内に立って、太陽の光を浴びるだけでOKです。
2)昼間、日光を浴び、日中の活動量を増やす
眠りを誘うホルモンの「メラトニン」は「セロトニン」から生成され、このセロトニンは、おもに日中活動において分泌されています。
このセロトニンの分泌を活発化させるためには、太陽の光をしっかり浴びることが大切になりますので、なるべく日光を浴び日中の活動量を増やすことが快適な睡眠のポイントになります。
3)規則正しく食事をとる
規則正しい食生活は生体リズムを整えるます。それに食事をきちんと取らなければエネルギー不足となり、睡眠にも影響を与える可能性があります。
4)15分程度の昼寝
昼間、眠くなったら素直に昼寝をおススメします。(あくまでも昼寝が出来る状態ならばですが)
それも短時間にしてください。30分を超えて昼寝をしてしまうと、ノンレム睡眠が深くなってしまうので睡眠による脳の休息効果も大きくなってしまうため、夜になかなか寝付けなくなることもあるからです。
寝付くまでの時間を含めて15分から30分程度にするようにしましょう。
5)眠気がないのに早い時刻から床に入るのはやめる
起きていてもしょうがないからと夕食後にすぐに床に就かず、ご家族との団らんの時間や趣味の時間を過ごすなどしてなるべく遅く就寝しましょう。早く寝るとそれだけ早く目が覚めてしまいます。
6)寝床にしがみつかない
スッキリとした睡眠が出来ないからと言ってダラダラと寝床で過ごすのはかえって逆効果です。不眠症で苦しんでいる人は寝床は苦しい場所だと無意識に思っているため、かえって眠れなくなることに陥りかねません。
寝床は快適な場所であるということを記憶に残すためにも眠れないままに寝床で過ごさないことを習慣づけましょう。
7)悩みごとはスッキリ忘れる習慣をつける
日常生活での過度なストレスや生活習慣の乱れが睡眠不足を引き起こします。
「あのときこうしていれば…」「もしもこんなことが起こったら…」など、昼間に起こったことをいろいろ考えても寝床に入ったらどうしようもないことばかりです。
最初はなかなか難しいかもしれませんが、今この瞬間だけに没頭できるような好きなことやストレス解消法をいくつか見つけておくというのも大切です。
8)就寝4時間前からはカフェインなどの摂取は控える
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインには、覚醒作用がありますので、できればカフェインなどを含む刺激物の摂取は15時までにするのがベストですが、最低就寝4時間前には摂取しないようにしましょう。
また、アルコール類も避けたい飲料類ですね。アルコールを飲むと眠くなりやすく、よく眠れそうですが、やがて途中で目が覚めたり、朝早く目が覚めたりする原因になるのです。
さらに、利尿作用もあるため、夜中にトイレに行きやすいなど眠りを妨げることもあります。
9)身体が温まる飲み物を飲む
夕方以降の飲み物は、カフェインを含まない飲み物を飲むと身体が温まるのはもちろん、自分の好きなハーブの香りなどリラックスさせてくれるものを選ぶことで、自然と眠りに入ることが出来るようです。
よくホットミルクがおすすめ!と聞きますが、「寝る前のホットミルクは逆効果」とするコメントがありました。気になる方は【「寝る前のホットミルクは逆効果」寝ても疲れが取れない人がやっているNG習慣】をご参照ください。
10)就寝の3時間前までに食事をすませる
夕飯は就寝の3時間前までにすませておくことが理想です。
寝る直前に食べてしまうと、自律神経の働きで内臓が消化しようと働き深部の体温が上がり、眠気を遠ざけてしまうからです。
最低でも就寝の3時間前までに食事は済ましておくことをおススメします。
11)ぬるま湯にゆっくりと浸かる
眠気はメカニズムとして深部体温が下がり始めと合わせて徐々に高まります。
昔から「お風呂で暖まってお布団にはいればよく眠れますよ」と言われるのにもちゃんと理由があったんですね。
入浴は血行を促進させ、心身のリラックス効果と身体の中心部から体温を上げ、身体の末端からの放熱を促し、眠りに入りやすい状態にしてくれます。
目安として38℃〜40℃くらいのぬるめのお風呂に20分程度、就寝の1時間~1時間半前に入るといいですね。
それよりもう少し熱いお湯に入りたいという場合は、就寝の2時間以上前に入るようにしましょう。
12)30分程度の適度な運動を習慣にする
呼吸と連動させた簡単な運動をすることがおすすめ。軽く体を動かすことによって自然と眠気が訪れたらシメタものです。
21時以降だったら、ストレッチや筋弛緩運動でリラックスをして、身体の凝りをほぐす程度に抑えてください。
参考までにコチラの映像をご覧ください。【ストレッチシリーズ(寝る前)】寝る前5分で良質な睡眠、翌朝スッキリ
ただし、絶対無理はしないでくださいね。
13)寝る前に目もとを温める
今、睡眠の質を高める方法として注目されているのが、就寝前の「目もと温め」だそうです。
寝る前に目もとを温めると、深いリラックス感が生まれ、入眠しやすくなります。
目もとを約40℃で温めると、手足の血流がよくなって放熱が促され、深い睡眠が得られるという研究データもあります。
また就寝前の快眠のセレモニーの一環として「目もと温め」の習慣を実行することは、ストレス解消、リラックス効果の導入になって「なんか眠れそう」という意識の醸成にきっと役立ちますよ。
参考までにコチラのサイトをご覧ください。【眼の周りを温めることによる入眠への影響】
14)就寝1時間~30分前に照明を調整する
部屋の照明をやや暗めの暖色系に切り替え、光の刺激を受けないような環境を創ることが大切です。
今やシニアの必需品の一つであるスマホですが、スマホを使うときには顔と画面との距離が近く、浴びるブルーライトの暴露量が圧倒的に多いです。
ブルーライトは、眠くなるホルモン「メラトニン」に対して影響力が大きく睡眠の質が低下してしまい、睡眠不足に陥るの可能性が高いので、就寝30分前からは見ないようにしましょう。
参考:【ブルーライトと睡眠の関係~ブルーライトは睡眠の質を落とす?!】
15)寝具にこだわり寝やすい環境を整える
快眠を考えると基本はベッド(マットレス)と枕の選択が挙げられます。
ベッド(マットレス)
ベッドというか、直接身体に触れるマットレスの選択ですが、基本中の基本は自分の寝姿勢に合っているものを選ぶ必要があります。
理想としてはマットレスに実際寝てみて体重を分散しやすく、寝返りがうちやすいものを選ぶのがべすとですね。ポイントは「硬さ」「厚み」そしてやっぱり「品質」ですね。
こだわり抜いた高反発コイルベッドマットレス ・最大級の厚み!13層の極厚27cm!深い眠りを切望する人や「腰痛」「ヘルニア」などの悩みをお持ちの方に好評です。【雲のやすらぎ極マットレス】の公式ホームページをご覧ください。
枕
成人の頭の重さは体重の約10%と言われています。ボウリングのボールに置き換えると、11ポンドから13ポンドの重さになります。
こんなに重い頭をしっかり支えて快適な睡眠を実現してくれるには、「枕」の良し悪しがポイントとなるのは納得ですね。
仰向けで寝ることが好きとか多いという人は、頭を乗せたときに首の骨が自然なS字になる高さや硬さの枕が適しています。
人はまっすぐ立っている時、背骨がなだらかなS字状にカーブしているので理想的な寝姿勢は、仰向けになってもこの姿勢が自然に保たれている状態ですね。
一方、横向きが多い人は、背骨と床が真っすぐに並行している状態が理想的です。
背骨が真っすぐになることで、頭が適切な高さで支えられ首や肩にかかる負担を抑えてくれるからです。
整体師の経験から生まれた『整体枕』【Cure:Re THE MAKURA】は「体のゆがみを整え快眠に導く【睡眠中の整体師】として累計30,000個以上を販売したベストセラー枕です。
結論としては、マットレスにしても枕にしても実際に寝てみて自分にしっくりとする高さと硬さと品質を選ぶこということですね。やっぱり。
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